研究背景

アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎は、良くなったり悪くなったりを繰り返す「かゆみを伴う湿疹」を特徴とするものです。日本で行われた調査によると、生後6か月の乳児の約25%にアトピー性皮膚炎が疑われると報告されており、乳児によく見られる疾患です。小児アトピー性皮膚炎患者の約60%は生後1歳までに診断されるという報告もあり、小児アトピー性皮膚炎の多くは乳児期に発症することがわかっています。

アレルギーマーチとは

「アレルギーマーチ」は、一つのアレルギー疾患を契機に一連のアレルギー疾患を次々と発症していくことです。まず始めにアトピー性皮膚炎を発症し、続いて、食物アレルギー、気管支喘息、アレルギー性鼻結膜炎などのアレルギー疾患を次々と発症する傾向があります。アトピー性皮膚炎の問題点は、かゆみ等により生活の質が下がるだけでなく、先に述べた通り、経過中に様々なアレルギー疾患を合併することです。これまでの報告から、1歳までにアトピー性皮膚炎と診断された乳児の19.3%は1歳時点で食物アレルギーを合併していたことが明らかとなりました。また、乳児期の、より早期にアトピー性皮膚炎を発症するほどその後の食物アレルギー発症のリスクがより高くなることも報告されています。
なぜ、アトピー性皮膚炎があると食物アレルギーの発症リスクが高くなるのか説明します。私たちの皮膚や粘膜には、外から体の中に外来物質が入ってこないようにするバリア機能と呼んでいる仕組みがあります。アトピー性皮膚炎のある人は、皮膚バリア機能が低下して、外からアレルゲンが侵入しやすくなっています。外からアレルゲンが侵入してくると、体の中でアレルギー反応が引き起こされます。そうすると、食物アレルギーの症状につながるようなIgE抗体というものをたくさん作るようになり(これを経皮感作と呼びます)、食物アレルギーの発症リスクが高くなるといわれています。

食物アレルギー・アレルギーマーチを予防するには

私たちは、将来的なアレルギーマーチの予防のためには、乳児期早期からアレルギーマーチの起点にあるアトピー性皮膚炎に対する適切な治療が重要ではないかと考えました。そして、アトピー性皮膚炎を早期に積極的に治療することによって、発症早期から皮膚の状態を速やかに改善して、経皮感作を防ぎ、食物アレルギーの発症が予防できるのではないかと考えました。

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